<harmony />

<recollection>
 ねえ、トァン。知ってる? ずっと昔はね、村って単位の組織のなかで人身御供を決めて神様に捧げてたんだよ。何か悪いことがあったり災害があるとそこの神様に怒りを鎮めてもらったり何とかしてもらうために人間を捧げてたんだ。若くて、まだ処女である女の子であることが多かったの。なんでかわかる……その女の子が神様のお嫁さんになったんだよ。人柱とも言ったの……神様は柱で数えるから、ひとでありながら神様に近い存在として扱われたんだね。でもそれって、ひどい話だと思わない……。村を救うためにたったひとりが犠牲になるの。村のひとたちはありがとうと言いながら泣いてあげるけれど、そんなの要らないんだ。他人に何かをしてやるっていうのは、自分の最低限の生活が保障されて初めてできることで、自分そのものが脅かされてまですることじゃない。だから人身御供は時代が進むにつれて各地で禁止されていって、まだやろうとするところは邪教として国に取り締まられていったんだ。でも山奥の村とかではこっそりやられていて、死にたくなくて夜逃げする女の子たちが沢山いたんだよ……。
 私はもう既にミァハが何を言いたいのかわかっていて、けれどミァハの後ろに立っていたキァンはまだ不思議そうな顔をしていたから助け船のように相槌を打った。そうなんだ。ミァハの考えを誰よりもわかっていることが嬉しかった。
「今の世界はもうそれが当たり前になってるよね」
「そうだね、トァン」
 まるで子供を褒めるような口ぶりで微笑んだミァハの横顔は美しく、その睛は放課後のプールを見つめていた。決して窒息することを赦さない優しい温度、肌に害がないように徹底的に殺菌された少しだけ青い水、私たちの公共的身体ってやつを守るための、灰色の柔らかなタオル。
「女の子たちはそんなのはたまらないって逃げたし、逃げられなかった子たちは自分の運命を嘆きながら湖に沈んでいった……人身御供っていうと水に沈めるのが多かったんだ。若し浮かび上がってきたら、もう一度重しをつけて沈めるの。神様が受け取ってくれなかったサインだから。村人たちは順番に自分の家族を差し出してきたし、大家族が多かったから、ひとりだけ娘を喪えば他の子どもが助かったし、それが当たり前だったから抵抗することもなかったんだよ。でもやっぱりどう考えたっておかしかった。自分の生命を他人のために捨ててやるなんて、まともじゃない。イカれてたんだ。でもそれが今や、当たり前になってしまった。誰も彼もが赤の他人のために死んでやることが出来るし、その死を嘆いてやることが出来る。可哀想に。私なら止められたかもしれないのに。私が変わってやれたら善かったのに。そんなに死にたいなら、」
 ミァハがふっと、視線を私の方に流した。その睛に私が映る。ミァハの、きれいなめ。そして彼女は裁きのことばを口にする。柔らかな鋭さとともに。
「みんな死ねばいいのにね」
</recollection>

 あのときの私はミァハが大好きだった。ミァハの言うことは何もかもが有難くて、正しく思われた。けれどそれは私は公共的な身体だから公共的に生きると教え込まれてそのように生き続けるひとたちと、それほどの違いはなかったと今となっては理解できる。私は幼かった。そして幼いがゆえにおっぱいが大きくならなくてもいいと思っていたし、おしりだって小さい方が善かった。WatchMeは定時に飲まなければならない漢方薬のように忌々しいものだった。
 今は、どうだろう。WatchMeには支配されていないこの身体はDammyMeによって誤魔化されていて、結局は機械を身体に入れて健康ないし不健康になることが出来ている。機械を身体に入れて|管理《ストーキング》されることで生きるのを受け入れている現在。死にたいと願いながら死ねなかった日々を超えて、死にたいとさえ思えなくなった変化を成長と呼んでいいのか、わからない。ミァハたちはWatchMeに仕込んだプログラムによって私たちを無差別に殺すことが出来た。そして今老人たちはWatchMeに働きかけるコードによって私たちを強制的に、完璧に生かすことが出来る。逆らうことは出来ない、支配されきった生命。そこに私があるのか、私にはわからない。私は意識のことだろうか。それなら皆が同じ体重で同じ容姿で、同じ体型であろうとそんなのは関係なかったはずだ。一見よく似た肉袋に詰まった中身の方が大事なのだから。だから、私とは意識だけではない。けれど機械に支配されつくした身体を私というのではたまらないとも、同時に思う。
 私とは意識を孕んだ肉体のことなのだろうか。

<learning>
「昔は魂魄って言葉があったの」
「今もあるじゃん。身体と精神はふたつでひとつ、どっちも平等に大事にしましょうって意味でしょ」
 キァンのことばにミァハは微笑んだ。その微笑は教え子を諭すときのそれで、私は彼女からの教育を聞き逃さないように、ひとりで背筋を伸ばす。彼女はきっと違うよ、と言う。その響きが好きだった。
「違うよ、キァン。意味がちょっと違うの。もともと魂は精神で魄は身体って意味で、それだけだったんだ。二つは異なる存在で、ひとが死ねば魂は生前の行いによって評価されて動物や畜生、若しくは人間に輪廻して、身体は残るから火葬されてたの」
「火葬ってなに?」
 ミァハはそれを無視して、
「だから皆頑張ってた。次の生で――来世、っていうんだけど、それで虫けらになりたくないから、善い行いをしてきたの。そうして悟って、涅槃の境地に至るんだ。涅槃っていうのは寂静ってことで、何にも動じず、欲張らず、食べすぎず、かといって食べなさすぎず、貧しくもなければ富を蓄えすぎず、快楽と苦行の真ん中、調和のとれた中世の道を究めているってことなの。今と似てるよね。でも今は誰も死んだあとのことなんて考えてない。自分が死んだあとのことなんて、考えたこともない。今はそういう社会になってしまってるんだよ。私たちは死んだら蛋白分解性溶液で分解されておしまい。最後の最期まで社会のために健全に無害に死んでいく。すごいよね、来世があると思ってるわけでもないのに、そんなに頑張って中道を究めようとするの」
――私は、死んでもいや。
 ミァハが、韜晦する。
</learning>

 今、私は最後の私を味わっていた。もう十分お腹いっぱいだと思うほど、私を前面に浴びている。山羊の車体に私を映し、その灼けた肌の色までは見えないけれど、ミァハが似合っていると言った長い髪が腰まで伸びて、ミァハを撃ち抜き、そして抱き留めて赤く染まった掌が肩からくっついてぶら下がっている。
 ミァハを殺した私が。
 ミァハを喪った私が。
 ミァハを追いかけ続けた私が。
 ミァハがすべてだった、私が。
 もうすぐ|完璧な人間《ハーモニー》になろうとしている。ミァハが望んだ世界。父が徹底的に拒んだ世界。キァンが迎えられなかった世界。
 かつて、日本や中国といった国――そしておそらく他の国という単位でも宗教的なアプローチで目指した|世界《ハーモニクス》へ。正しすぎない、間違えすぎない、優しすぎない、冷たすぎないど真ん中の道。私たちが歩むべきレールが引かれ、そもそも他の道が見えることもない世界。狡く卑怯な私は今更意識の消失を恐れ、WatchMeがオンラインになるぎりぎりを動けずにいる。
 けれど今更ひとりだけ意識を保ったところで何になるのだろう、とも思う。ミァハの遺骸は山羊の上で日向ぼっこに徹している。父の言葉通りであれば皆意識を失っても会話できるし、交流には困らない。けれどそこに意識がないとわかっていて会話をする気は、私は起きない。今更自分だけここでモラトリアムを楽しんでも何にもならない。皆は既に公共的に動き始めている。夢遊から覚めたように喧嘩をやめ、いつも通り自分の収入に見合った買い物し、栄養を過不足なく摂取するための食事をし、排泄をし、新しい公共的な身体を生むために、排卵日を計算して互いに気遣いあったセックスをする。愛し合っているふたりは気持ちいいはずで、痛くないですか、大丈夫ですよ、気持ちいいですか、とっても、なんて会話をする。
「今の生府ではレイプなんて信じられないよね。でもかつての日本では年間百万単位であったんだよ。認知されているものだけでね。恥ずかしくて警察に言えないひとも多かったし、そのまま殺された子もいるから、もっといるんだろうけどね。日本は強姦大国だったんだ」
「やめてよ、その言い方」
 ほんとだよ、とミァハは笑った。ふたりで旧ロシア軍基地のベッドに腰掛けていた。清潔感のないベッドシーツと軋むスプリング。大人になってしまった私はミァハにも強く言うことが出来るようになったし、そしてミァハは少女のまま、完璧な笑顔を保っていた。
 レイプなんて単語自体、耳に入れただけでセラピーで薬漬けにされる禁止語句だ。けれど私はそれをミァハの言葉を聞く前から聞いていた。紛争地帯ではよく起こることだ。サバイバルセックス。生きるために一食分の値段で身体を売るしかない母親とNGOの援助従事者に呼び出されてレイプされる娘。戦場で白昼は銃を握り、夜は兵士の慰め者になる少年少女。敵の拠点に乗り込んだら十五、六人の兵士が九人の女の子をたらい回しに犯している現場を目撃したことがある。私たちが殺す前に死を悟った女の子たちはせめてとばかりに彼らを撃ちぬいた。戦場には暴力とセックスが溢れている。戦場で女の子たちはしあわせになることを赦されていない。私も交渉の場で酔った民間の武装集団にセックスを持ち掛けられたことはある。そうしたら良い条件でこの戦場を譲り渡すと。私ひとりと一度セックスをするだけでドラッグか酒にしか目を向かない男たちが首を縦に動かすなら全然善かったわけだがもちろん螺旋監察官の同僚はそんなこと赦さない。セックスは愛し合ったひととのみ行う神聖な儀式らしいのだった。それでもミァハがそんな体験をしていたことは知らなかったわけだが。
「日本の男たちはセックスが大好きだった。アダルトビデオって知ってる……。世界中でつくられた、男が自慰行為をするための男と女がセックスしているビデオ……。いろんなジャンルがあったの。女子高生、痴漢、女教師、混浴温泉、盗撮、痴女、強姦。男と女が仲良くやってるだけのもあれば、女がたくさんの男たちに辱められているやつもある。でもだんだんモラル的に禁止されていって、何からなくなっていったか知ってる? 痴漢とか、強姦とかから。真似する人間がいるからって規制されていって、それでも現実の性犯罪は減らなかった。男は女をセックスによって支配できると信じていた時代があるんだよ。突っ込んだだけで、これは俺の女だって、俺のものだって、思い込めたの。女を使って自分が気持ちよくなることが、男にとっては大事だったの。売春ってはなし、覚えてるでしょ……」
 女子高生を悪い大人がお金を払って買ってあげる行為のことだ。援助交際とも、売春とも言った。学生時代のミァハの話を懐かしく思いつつ、彼女の問いかけに頷いた。
「あとは性風俗もあったし、パパ活ってのもあった。女の子たちは本当にお金がなくなったら身体を売ることで生きていくことが出来た。でもそこまでして生きなくてはいけなかったのかな? 紛争地帯でレイプされてまで生きていくくらいなら、死んだほうがましだったんじゃないかな。AV女優は大儲けしたよ。顔出して自分の性器ドアップで映されて金もらって、どこで使えばいいかわからないけどね。お金に困っていたわけでもない女子高生が悪くなりたくて、身体を売るの。両親とちょっと仲良くやれなくて父親と同じ年代の男とやるの。彼氏と喧嘩しちゃって、勢いでAVに出演しちゃうの。それって、突き詰めて言えばね、復讐なんだ。今の私たちとおんなじ。わかる……?」
 ミァハからの問題に私は微妙に笑って見せた。わかるよ、というアピールと時間稼ぎ。でもその甲斐あって答えはすぐに思いついて、ベッドシーツの上で彷徨ったミァハの白く細い指を捕まえた。
「モラルに沿って自分を罰したんだね。彼氏とか、両親を殺したら悪いひとになっちゃうけれど、彼氏や両親に大事にされている自分を傷つけることで、彼らを間接的に傷つけるんだ。この肉体を汚すことで、私という人格に傷をつけることで、今まで愛し愛されてきたこの私という存在を徹底的に穢すことで」
 あのときの私たちと同じように……。そうだね、とミァハは正解をつけてくれたけれど彼女の話はそこが主軸じゃなかったようで、いつもの通り話は続かずに、そういえばね、と話題を切り替えた。ミァハの横顔で彼女がほんとうに言いたいことが今からくる、そんな予感がした。
「私、トァンのお父さんとしたことがあるんだ」
 静かな告白に、私はへえ、そうなんだ、どうだった、と平然と返すことが出来た。職業柄身に着けた能力はミァハにも見破られることなく、彼女をあれ、驚いてくれないんだ、と逆に驚かせることが出来た。可能性として一度考えたこともあるのだ。レイプされ続けて意識が芽生えたミァハを、もう一度犯すことで意識に影響が出るのかどうか、父が試してみたいと思ってもおかしくない。そしてミァハもセックスに対しての意識は私たちよりも高い。そしてこの言い方からすると強姦ではなく和姦で、ミァハからの誘いだったのだろう。この美しい少女からの誘惑。ワンピースから伸びた真っ白く細い四肢としっかりと膨らんだ胸。静かに響く聲が嬌声に変わる瞬間。私がこの健康な社会が出来上がる前の男だったら、きっと犯したい、と思っただろう。抱きたいじゃなくて。この身体を滅茶苦茶にして、涼しい顔を泣かせたい。
「少なくともロシア兵よりは優しかったよ」
「なんでしたのか、きいてもいい?」
 うん、と相槌を打ってからミァハはベッドに寝転がった。彼女が呼吸するたびに上下する胸。かつて私とミァハの身体はミァハと私だけのものだった。それを思い出すとまだ、胸が痛む。
「男はセックスが好きなはずだよね。犯したり、AVをつくったりするくらいには大好き。トァンのお父さんも男だから、一度私を抱いたら次も抱けると思って襲ってくるんじゃないかって思ったの。信じていたかったの。ああ、やっぱり男は男だって。日本の男だって結局優しさなんて表面だけで、ほんとは性慾の下僕だって。でも彼は私が頼んで、戸惑いながら抱いた一回以外、私を抱いてはくれなかったよ」
 ミァハは残念そうに口を尖らせたし、私は父の亡き顔を思い浮かべる。父の行動が素晴らしいことなのか、男気がないと捉えるべきなのか、私にはわからない。ただミァハは結局優しさに辟易しただけだった。
「トァンは結局、セックスしたこと、ある?」
「生憎」
「じゃあまだ処女なんだ。おかしいの」
 くすくす笑うミァハは私の胸をなぞり、こんなに膨らんだのに、と残念そうに揉む。私の腰にはまだ彼女を殺すためのオートマチックが突っ込まれていて、彼女が私の腰に触れようとしたらすぐに撃てるだけの緊張感は残している。
「大丈夫だよ、トァン。これからちゃんと、できるようになるから」
「意識のない世界で、年収や趣味でマッチングした結婚相手と愛のあるセックスをするのね」
「愛ももうないよ。愛だってただの概念だからね。自己愛という名の感情は愛情という行為によって拡散される。愛されるっていうことは、愛するっていうことは、だから自分を愛してくれ/愛を受け取ったから愛し返そうという承認/反復行為でしかないし、そうやって私たちは愛をある程度確保することで人格に対する保証をする。でももう人格だって、必要ないでしょう? 人格っていうのは私たちの、防衛機構なんだ。売春したときだってそうでしょ。金のためのセックスで身体を傷つけて、そして人格を傷つける。けれど「私」は傷つかない。「私」が傷ついたら意識がだめになってしまうかもしれないからね、人格だけを傷つけるの。そうして傷ついても獲得した愛や信頼によって人格は修復できる。意識がないなら人格も傷つく理由がないし、愛を送りあう必要だってない。自由ってのは私たちの行動の単位だけど、合理的な行動が選択できるなら自由だって必要ない。かつて人間が死ぬほど求めた愛情ってやつも、自由ってやつも、もう時代遅れ。そうして今度は優しさが流行したけれど、次に蔓延するのは合理的な選択。そしてもう終わり。私たちは完璧な選択しか出来ない病に感染して生きていく。そして死ぬ」
「でもその死すらもう悲しくない。そこで死ぬことは、自分の人生のなかで一番いいところで死ぬ、ということだから。一番苦しくなくて合理的なハッピーエンドだから……」
「その世界が来るの、今から。私とトァンは一緒にそこを迎えるんだよ」
 そして、ああ、と彼女は自分がしていることに一切の躊躇いも過ちもないことを思い知った。ずっと私がついてくると思っている。あの頃からずっと変わらないで、キァン亡きいま二人きりで。
「……ミァハは私が何をしにこんなところまで来たのかなんて、これっぽっちも考えてない」
 そうして彼女を抱きしめて、ミァハを撃ちぬいた私。私が愛しているミァハのままでいてもらうこと。私が、私であるがままに望むということ。私の世界に皆を連れて行こうという高慢なまでの絶対的な彼女のエゴ。意識のために人格で防衛し、愛によって人格を保証する。ならその意識はどうしてそんなに大事で、私が私であることに一役買っているのだろう。今から「私」は、どこに行くんだろう。それを聞いておけば善かった、と思った。それとも個が消滅することは「私」すらもなくなることなのだろうか、それは意識が私であることの証明にもなるだろう。そもそも、私がどこにいるのか、意識のない個体は考えない。そんな思考に意味はないからだ。私が私であることに生命的な価値はない。
 そして私はミァハの望むまま彼女と基地を出る。彼女を山羊に預け、今、最後の私を味わっている。もう十分お腹いっぱいだと思うほど、私を前面に浴びている。最後の晩餐というわけだ。
 あと一歩踏み出せばおそらく意識が消失するだろう。それがわかる。私の本能が身体に震えを与え、なくなりたくない、と叫んでいる。その|本能《いしき》を私はただ愛おしく思った。震えていた幼い魂のことを。わかっていた。ミァハが教えてくれた。
 ねえ、トァン。知ってる? 私はね、トァン。そうだね、あのね、それはね、トァン。彼女の、私を呼ぶ声が走馬灯のように響き始める。
 意識が消えること。ミァハが過去になること。死人になること。相性の良い男とマッチングされ、結婚し、排卵日に気持ちいいセックスをすること。寿命で死ぬこと。ハーモニーの世界で、生きていくこと。ミァハが食らわせた世界への一撃が、永遠になる。地球が滅びるまで。探し求めた、魂を擁護することば。彼女を振り返ったとき、ミァハの腕がだらりとぶら下がった。山羊が省電力モードに切り替わって四肢を曲げたためだった。揺れた彼女の髪の一房。あ、と思って慄いたとき、私の身体は、WatchMeはその一線に触れる。さよなら、私。もう会うことはないでしょう。そして。
 「私」の遺言が世界に響き渡った。

<testament>
 さよなら、ミァハ。
</testament>

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